長年なやまされてきた頭痛、その原因は噛み合わせにあった!
「頭痛」は、皆さんどなたもご経験のある非常に身近な症状です。
実際、ここにあげたグラフを見ていただくとおわかりのように、日本ではおよそ4割の方が日常的になんらかの頭痛を自覚しており、これをお読みの患者様のなかにも「しょっちゅう頭が痛い」「長年の頭痛持ちで憂鬱になる」というケースが少なくないと思います。
頭痛というのは、クモ膜下出血をはじめとする脳血管疾患(この場合、殴りつけられたような激しい痛みを感じます)など特別の場合を除き、生命にかかわることは多くありません。
が、それだけにご本人にも周囲にも怖い病気という自覚が少なく、その原因をきちんと調べることなしに市販の薬を飲んでごまかしたり、がまんしたり……そのせいで、仕事や家事に支障をきたしてしまうほか、ひどいときは睡眠不足、食欲低下にもつながって、さらに体調を崩すこともあるなどQOL(生活の質)を大きく下げる要因となります。
そんなやっかいな頭痛ですが、理由となるとさまざまに考えられ、病院で受診してもすぐには原因がわからないことが少なくありません。
しかしながら最近、大きな理由のひとつとして歯科的な側面、とりわけ噛み合わせの不具合(不正咬合)がある――という説が、専門の内科医の方たちの間でも“常識”になりつつあるというのです。
では、噛み合わせに不具合が生じると、なぜ頭痛が起こるのでしょうか?
それは、顎の関節のゆがみが、体全体のゆがみにつながり、そのせいで体のあちこちに緊張や負担がかかるからと考えられます。
噛み合わせというのは、たんに歯並びの問題というだけでなく、顎の骨全体が正しい位置にあるか、正しい動きをしているか、という点に大きく関わっています。
このことは、ほとんどの患者様がご存じでなく、また専門の歯科医でもきちんと認識していない場合が多いのですが、じつはこれが歯と頭痛の関係にも深く影響しているのです。
顎関節のわずかなズレで体がゆがみ、頭痛が起きる
私たちの歯は、顎の骨に並んで生えていますが、その顎の骨は耳のすぐ前あたりで頭蓋骨とつながっており、この「顎関節」の部分が上下左右になめらかに動くようになっています。
口をぱくっと開いて前歯で食べ物を噛み切ったり、左右に動かして奥歯ですりつぶしたりできるのはすべて、この顎関節のスムーズな動きのおかげです。
ところが、この顎関節の動きは何らかの原因で歯の噛み合わせが悪くなると、とたんにうまくいかなくなります。
たとえば、歯周病などで左右どちらかの奥歯が抜けてしまうと、それをカバーするように残ったほうの歯だけで食べ物をすりつぶすようになるなど、無意識のうちに不自然な噛みグセがつきます。
そのため、顎の動きは不自然になり、よけいな負担がかかることで、ついには顎関節にまでゆがみが生じてしまうのです。
人間の体というのはじつに微妙にできており、顎関節の位置がわずかにズレただけで、頭とこれを支える首の「重心」までがズレてきます。
そのため、バランスをとろうと、首から上が左や右に傾いたり、前へ突き出されるようになったり、知らず知らずにゆがんでしまうことが少なくありません。
特に、首から頭にかけての筋肉の下には、血管や神経が無数にはしっていますので、ここがゆがむと血液の流れや神経の伝達を悪化させるのは当然のこと――じつは、頭痛の原因のかなりの部分に、こうした点が影響していると考えられるのです。
実際、私どもへ初診でおいでになる患者様には、首から上が不自然に傾いているのがはっきりわかる方も多く、そうしたケースでは首から頭にかけての筋肉にかなりの負担のあるのが一目瞭然。
首から上がゆがむと、当然のように肩から背中の筋肉や骨格にも影響が出ますので、両肩の高さが大きく違ってきたり、背骨が左右にゆがんできたり、そこに生じた異常な負担と緊張あは、これまた肩こりや首のこり、そして頭痛の直接の原因になります。
身近なだけに本当の原因がわかりにくく、憂鬱な頭痛。
あなたの頭の痛みには、もしかすると歯のトラブルが関係しているかもしれません。
長年にわたり悩まされている方には、ぜひ一度、噛み合わせの理論に通じた歯科医のドアをたたき、これを正すことで“頭痛のタネ”を取り除いていただきたいと思います。