歯科治療を飛躍的に進歩させた「根管治療」とは
いわゆる「虫歯」のことを、専門的には「齲歯(うし)」といいます。
これが起こる原因は、虫歯菌の出す酸で外側の硬いエナメル質、その内側の象牙質が溶け、中心にある神経(歯髄)が直接おかされるためで、大昔はおかされた歯を抜く(抜歯)治療が中心でした。
それが大きく変わったのは、ほぼ40~50年前に「根管治療」という方法が確立されてからで、これにより歯科治療は飛躍的に進歩したのです。
根管治療というのは、文字どおり歯髄の根っこにある「根管」という部分から、虫歯菌におかされた神経を取り除き、そこへ薬を詰めて、金属や樹脂製のかぶせ物をする技術のこと。
治療のために歯に穴をあける工程(皆さんご存じのガリガリガリという、あれです)はあるものの、それ以前の抜歯にくらべれば、患者さんの負担もぐんと減るうえ、何より歯を残すことができるのが最大のメリットでした。
こうして、ほとんどの歯科医院で行われるようになった根管治療ですが、じつが「治療した歯がまた痛くなった」という患者さんの訴えは、今も少なくありません。
原因は、最初の治療の際に神経が取りきれていなかったり、神経を取ったあとの空洞が詰め物やかぶせ物できちんとふさがれていなかったなど、ずさんな治療により患部が再び悪化するケースがほとんどで、患者さんにしてみればご納得いかないところでしょう。
顕微鏡を使った「スーパー根管治療」とは
こうした状況に対し、近年ようやく行われるようになったのが、顕微鏡を使って行う格段に精度の高い根管治療ーーいわば「スーパー根管治療」のメソッドです。
かつての根管治療では、口の中の、そのまた奥にある歯の表面にあいた患部の穴の、さらに奥をのぞきつつ行うため、そこにはどうしても限界がありました。
それが顕微鏡の登場によって、神経の状態がミクロン単位で確認できるようになり、肉眼ではわからないほど細かく、曲がったり、枝分かれしている根管内の虫歯菌を完璧に除去することができるようになったのですから、まさしく「異次元の進歩」といっていいでしょう。
最近ではCTスキャンを用い、針の先ほどの患部を水平方向に輪切りにした画像で手にとるように把握できるようになり、こちらも従来のレントゲンとは次元の異なる治療ができるようになっています(CTスキャンは今や世界の歯科医療における常識です)。
しかしながら、先進国のアメリカでは根管治療を行う専門医への普及率100%、使用のためのトレーニングが不可欠とされる顕微鏡も、日本での普及率はいまだに10%程度です。
理由は、設備投資の問題と技術の習得、健康保険の適用という面が大きいようですが、治療技術のABC、まさに歯科医療の“ワールド・スタンダード”とさえ呼べるスーパー根管治療が広く行われないのは、患者さんにとって不幸というしかありません。
スーパー根管治療は97%が完治※
根管治療とは、その名のとおり歯の「基礎」、家にたとえるなら土台を修理する工事と同じです。
その大切な土台の修理を、顕微鏡やCTスキャンによる精密な治療で行うか、再発の可能性が残る肉眼での治療で行うか、結果にはまさに天と地ほどの違いがあります。
それは治癒率の違いにはっきりとあらわれ、従来の根管治療が30%前後なのに対し、スーパー根管治療ではじつに97%が完治(※)するというのですから、どちらを選ぶべきかもはや明白でしょう。
※完治の割合値に関しては、2016年6月以降の当院の一番最初に行う抜髄治療(歯の神経を取る)の割合となります。
これもアメリカでの話になりますが、根管治療を行う際、患者さんは歯科医師からその旨を事前に伝えられ、ご家族と話し合ったうえで最善の治療を選ぶのが当然だといいます。
神経を取る治療が、歯を抜いたり、インプラントを行うのと同じくらい重要な治療と考えられているからで、歯科医の側が何も説明せず、同意もなしに治療されてしまう日本とは、インフォームド・コンセント(十分な治療情報の提供)に対する考えが根本的に違うというしかありません。
私どもでは、すでに10年前から顕微鏡を完備、CTスキャンの画像を用いての施術スキルも他院の追随を許さないレベルと自負するところです。
治療にあたっては患者さんに十分な情報を提供し、ご納得をいただいたうえでスーパー根管治療をはじめとする“高度先進歯科医療”をご提供しております。