噛み合わせの問題、すなわち「不正咬合」は――
①それぞれの歯に不自然かつ過酷な力を集中させる(物理的リスク)
②プラークコントロールをしにくくし歯周病を引き起こす(生化学的リスク)
――という2つの面から、皆さんの歯を次々に失わせていく原因となります。
これを防ぐには、何よりもまず正しい噛み合わせをつくること。
そこで多く用いられるのが歯列矯正という治療の方法です。
しかしながら、これまで、そして現在の日本の歯科医療では、この「矯正」ほどいい加減に行われてきた分野はありません。
なかでも、最大の誤解は「歯列矯正は矯正専門医にやってもらうのがベスト」という、間違った思い込みです。
私はじつのところ、歯列矯正をむやみに矯正専門医にまかせるのは考えもの、と思っています。
彼ら矯正専門医は、確かに歯列矯正のエキスパートではありますが、その前提となる噛み合わせの理論を知っている方は極めて少なく、ほとんどが経験と感覚にもとづくやり方で治療を行っているのが実情だからです。
私自身、いわゆる矯正専門医による治療を受けた患者さんが、その効果に満足できない例をしばしば耳にしています。
たとえば、矯正を始める前に模型などで「こうなります」としめされた状態にならず、もはや元に戻せないケース。
あるいは、たまたまうまくいった場合でも、噛み合わせの不具合が再発する根本的なリスクは潜在しており、当の患者さんはそれを知らされないままというケース。
こうした場合、専門医はしばしば「矯正の限界です」と口にするようですが、患者さんにしてみれば「限界」ではすみません。
歯科医としては「無責任」としかいいようがなく、私どもからすれば、勉強不足の矯正専門医にはヘタに手を出してほしくないというのが正直な気持ちです。
日本における歯列矯正はこれまで「見た目」などの審美的な面にかたよりすぎ(もちろんそれはそれで、とても大切なことですが)、歯の健康というもっとも重要な点がおろそかにされてきました。
そのため、矯正専門医は見た目さえきれいな歯並びになっていればいい、という常識で感覚頼みの治療を行い、患者さんの側もそれでよしとしてきたのです。
正しい噛み合わせこそ、患者さんの歯を守るうえで第一に考えるべきことなのに、そうしたおおもとがわかっていないのでは、ベストな矯正治療ができるはずもありません。
「インビザライン」と呼ばれる治療法
現在、世界の歯列矯正の分野には“革命”といってもおおげさではない、めざましい進化が起こっています。 インビザラインでは、レントゲンやデジタルスキャナを駆使し、患者さんにとって最適な噛み合わせを3Dのコンピュータ画像で構築――それに基づいてカスタマイズされた、マウスピース型のアライナー(矯正装置)を用いて矯正を行います。
アライナーは透明に近く目立たないうえ、患者さん自身で取りはずし自由(上下1セットを1~2週間で交換します)なため、歯磨きなども簡単になり、管理も格段にしやすくなりました。
とりわけ成人の矯正において効果がめざましく、これまでよりずっと短い期間と軽い負担で最善の治療を可能にするこの技術こそ、まさに矯正の“革命”といえるでしょう。
事実、インビザラインは治療数も右肩上がりで増加し、すでに世界で550万人以上の治療実績がありますが――残念なことに日本では、矯正専門医の多くが「技術的に確立していない」と受け入れに消極的で、普及が進んでおりません。
そして、今もなおワイヤー1本を使い、長い治療期間と患者さんへの少なからぬ負担がかかる古い古い治療法がまかりとおっているのです。
噛み合わせの治療というのは、たんに矯正で歯並びをよくするだけではなく、総合的な治療であるべきだと、私はつねづね思っています。
お城の石垣工事にたとえるなら、石(歯)の形を微調整したり(歯を削る)、石の足りない箇所にはピタリとはまる石を一から削りだしたり(インプラント)、地盤の弱い箇所を補修する(虫歯や歯周病の治療)などの、あらゆる選択肢が用いられなければなりません。
それがあって初めて、石と石が機能的にきちんと支え合い、強度、メンテナンスのしやすさ、そしてもちろん見た目……と、すべての点で最善のものになるわけで、目の前の石(歯)をきれいに積むことしかできず、それ以外には1本の歯の治療さえできない矯正「専門」医に、とうていそのレベルを求めることはできないでしょう。
インビザラインによる治療においても、アライナーによる治療だけで終わらせず、インプラントや歯周病・齲歯(虫歯)のケアなどもあわせ、100%ご満足いただける噛み合わせをご提供するのが、真の意味での“矯正”治療です。
私どもでは、最先端の矯正技術に加え、必要な知見と治療によって理想的な歯列矯正=噛み合わせの実現をお約束します。