歯並びと違い、噛み合わせの良し悪しは見た目だけではわかりません。
噛み合わせの影響は多岐に渡り、脳年齢とも密接に関係しているほか、以下のようなトラブルの要因にもなります。噛み合わせが悪いときに起こりやすい症状をご紹介します。
虫歯や歯周病などの
病気になりやすい
歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすいのですが、噛み合わせが悪いときも同様のことが言えます。歯並びや噛み合わせに問題があると、1本1本に適切にかかるべき力のバランスが崩れ、特定の歯のみに負担がかかります。
結果として、歯の寿命を縮めてしまったり、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすくなり、口内環境が悪化する原因となります。
歯ぎしり・食いしばりがある
歯ぎしり・食いしばりには様々な原因がありますが、噛み合わせの悪さもその1つに挙げられます。
人間の噛む力は非常に強く、歯ぎしりや食いしばり時には自身の体重の数倍から10数倍の力がかかるとも言われます。もし仮に体重50キロで5倍の力がかかっているとすると、歯ぎしりで歯に250kgの力がかかる計算になります。
歯ぎしり・食いしばりのほとんどは就寝中に起こるため、多くの人に自覚症状がありませんが、毎夜繰り返されているとしたら、歯の摩耗・破損も心配です。
頭痛が起こりやすい・
肩こりがひどい
嚙み合わせとは、歯だけなく、顎やその周辺の筋肉とも関係しています。噛み合わせが悪いと、顎のまわりの筋肉が緊張し、頭痛の原因になります。また、顎の筋肉と繋がっている首や肩の筋肉も血行不良になることで、肩こりが起こりやすくなってしまいます。
顎関節症
(口が開かない、カクカク音がする)
噛み合わせが悪いと、顎関節に負担がかかるため、顎関節症のリスクが高まります。口を大きく開けない、開こうとすると痛みがある、口を動かすときやあくびをした際に「カクカク」と音が鳴るなどの症状があれば、顎関節症を疑ってください。
気鬱・だるい・
疲労感が抜けない
噛み合わせが悪い状態とは、例えばえんぴつやタオルを長時間噛み続けるなど、目に見えない負荷が身体にずっとかかっているということです。疲労感が抜けなくても無理はありません。
長年にわたり不定愁訴に悩んでいるのなら、噛み合わせに問題がないか検査してみることをおすすめします。
噛み合わせが悪く、顎関節に負担がかかれば、顎関節症等のトラブルの原因となります。筋肉に負担がかかればコリや痛みの原因となり、歯に負担がかかれば歯周病のリスクを高め、破折や磨耗の原因になります。歯周病は全身疾患のリスクを高めるだけではなく、認知症を発症、進行させる仕組みが近年明らかになっていることから、健康寿命を延ばすためにも、悪い噛み合わせを放置しないことが大切です。
噛み合わせは悪くなるのはどうして?
食事など毎日毎日噛む動作をしています。毎日噛むことで顎がズレてしまい、ズレたまま噛み続けることで、非常に大きな問題が起こってくる。
特に顎がずれた位置で噛み合わせが形成されてしまうと、顎が正しい位置にないまま噛むことが繰り返されると、以下のような3つの重大な問題が発生します。
歯への過度な負担と歯の損傷
顎がズレている状態で噛むと、歯にかかる力のバランスが崩れ、特定の歯に過度な負担がかかることがあります。
この不均衡な力の結果、歯が割れたり、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。歯は均等に噛み合うことで健康を保つため、こうした力の偏りは、歯の耐久性を大きく損なう要因となります。
顎関節症の発症
顎の位置がズレたまま噛むことが続くと、顎関節に過度なストレスがかかり、顎関節症を引き起こす可能性があります。顎関節は非常に繊細で、ずれた状態で噛むたびに関節が歪み、痛みや違和感を感じるようになります。さらに、顎の関節が変形することもあり、これが慢性的な痛みや開口障害を伴う場合があります。これにより、日常生活に大きな支障をきたすことになります。
神経系への影響と全身症状の発現
顎のズレが継続すると、神経系にも悪影響が及びます。顎がずれていることで、自律神経のバランスが崩れ、神経系の失調を引き起こすことがあります。これにより、慢性的な頭痛や不定愁訴(特定の原因が見つからない身体的不調)が現れることが多くなります。また、顎のずれが筋肉の緊張を引き起こし、その緊張が持続することで肩こりや頭痛が慢性化することもあります。さらには、顔の歪みや背骨の歪みを引き起こし、全身のバランスにまで影響を与え、全身的な健康問題へと発展するリスクが高まります。
正しい噛み合わせとは?正しい噛み合わせは健康の土台です
噛み合わせとは、上下の歯の接触を指しますが、実際には歯のみで成り立つわけではありません。
人間の上顎は頭蓋骨によって固定されており、下顎は頭蓋骨から釣り下がるように複数の筋肉によって支えられています。咀嚼や発話の際には、顎関節の前後運動が必要です。
正しい噛み合わせのためには、歯・筋肉・骨(顎関節)・神経など、複数の要素が正常に機能しなくてはなりません。
噛み合わせは、見た目はもちろん、咀嚼・発話など、生活を送っていくうえでの基本となる部分です。
ですが、
自分の噛み合わせが良いのか、悪いのか、科学的根拠のある方法で検査したことのある方は日本では非常に稀と言わざるを得ません。
噛み合わせ治療の第一人者
咬合学の世界的権威ピーター・E・ドーソン先生の「The Dawson Academy Japan」第1期卒業生である岩本院長が担当します。
岩本院長は、Dawson Academy全課程を修了し、卒業した日本で数人しかいない歯科医の一人であり、ドーソン先生の提唱する「ドーソン咬合理論」に基づいて噛み合わせを審査・診断し、多くの臨床実績を上げています。
噛み合わせへの誤解
日本では、矯正治療や噛み合わせ治療に特別なイメージがあるのか、自分には関係ないと考える方もいらっしゃいます。ですが、正しい噛み合わせは将来の健康のためにも必要不可欠なものであり、誰しも無関係ではいられません。
歯並びと噛み合わせは別問題です
特に違和感もないし、歯並びも整っているから、噛み合わせも問題ないはず。
そう考える方もいらっしゃいますが、歯並びが良さと噛み合わせの良さはイコールではありません。
噛み合わせの問題は必ずしも審美面に影響を及ぼさないため軽視されがちなのですが、歯並びは整って見えるけれど、噛み合わせに問題があるケースは少なくないのです。
歯列矯正で噛み合わせが乱れては、健康美とは言えません
矯正治療によって歯並びはキレイになっても、噛み合わせが乱れてしまっては、ものが上手く噛み切れない、滑舌が悪くなる、歯やお口にトラブルが起こる、不定愁訴に悩まされるなど、多数のデメリットがうまれてしまいます。
本来の矯正治療とは、審美面だけでなく、きちんと噛めるようにする、セルフケアをしやすくして虫歯や歯周病のリスクが低減させるなど、健康面での好影響も期待できるものです。
矯正治療を検討される場合は単に歯を並べるのはなく、噛み合わせの検査や理論に基づく咬合調整を行ってくれる病院かどうかの見極めが重要です。
「違和感がないから大丈夫」ではありません。早めの治療をおすすめします
生活習慣病の多くに自覚症状がないのと同じように、噛み合わせの不具合(不正咬合)に本人が気づかないことは珍しくありません。また、噛み合わせは歯ぎしりや頬杖、口呼吸などの日常的な癖によっても変わってしまい、バランスが崩れることもあります。特定の歯に負担がかかって将来の損失リスクを高めていたり、上述したように頭痛や肩こり、不定愁訴の原因になっている可能性も考えられます。
まず違和感を感じたり、症状を感じじましたら、歯科医院への精密検査をおすすめします。